仮想通貨は冴えない状況ですが、IPO(新規公開株)は好調が続いています。
仮想通貨のICO(Initial Coin Offering:イニシャルコインオファリング)も、株式のIPO(Initial Public Offering:イニシャルパブリックオファリング)も、企業の資金調達手段という意味では同じですので、両構えで投資で稼いでいきましょう。
目次
2017年のIPO(新規公開株)のリターン
2017年は、国内で90社が新規上場し、公募価格から上場後の初値まで、単純平均2.1倍でした(最高518%(6.2倍)、最低▲6%)の好リターンでした。
IPOは、既に証券口座を開いている場合、「申し込み→当選→上場」までわずか2、3週間です(※事前入金の証券会社と、当選後入金の証券会社によって異なります)。
2、3週間で平均2倍になる訳ですから、仮想通貨と比べても投資効率が良いです。
○2017年IPOリターン上位10社(公募対初値)
資金吸収額20億円以下のリターンが最も高い
「公募から初値まで」のリターンが高い銘柄の特徴は、公募・売り出しによる資金吸収額が小さいことです。(ここでの資金吸収額はOA(オーバーアロットメント)も含めます)
以下は、資金吸収額とリターンの関係です。
これだとわかりにくいので拡大します↓
すると、2倍になっている銘柄は、資金吸収額が20億円以下に偏っていることがわかります。
90銘柄で平均2.1倍(+112%)といっても、この20億円以下の銘柄群(57銘柄)だけとると2.6倍になっており、これらの銘柄がリターンを牽引しているのです。
初値が重い銘柄の特徴
逆に、以下が公募→初値の2017年リターンワースト10です。
○2017年IPOリターン下位10社
初値が重い銘柄の特徴の1つは、資金調達額が100億円以上と多いことです。
もう1つは、再上場案件であることです。再上場の場合、投資ファンドが株主であることが多いため、上場後の売却が懸念されるのが主因です。
大型案件は、上場後でも遅くはない
ただし、重要なのは、こういう大型銘柄は規模が大きいため機関投資家の資金も入りやすく、しっかりと成長を示せれば、上場後半年~1年で大きく上がることがよくあります。
上記のワースト10銘柄においても、初値で売ってしまわずに、しばらく待っていれば、全て初値を上回っています(勿論、相場全体の影響もありますが)。
「資金吸収額20億円以下のIPO」は運よく当選すればいいですが、当然倍率が高いです。
一方、「資金吸収の大きな銘柄のIPO」は当選本数が多く、初値での上昇は限定的ですが、ファンダメンタルズが良ければ、上場後半年、1年で2倍になることがあります。
そこで戦略としては、IPOに申し込むと同時に、大型銘柄は上場後しばらくして買い増すことです。機関投資家は、個人投資家が何も考えずに機械的に売った銘柄を狙っており、優れた稼げるビジネスモデルや成長性があれば、上場後でも大きな値上がりが期待できます。
2018年のIPOも好調なスタート
日経平均は24,129円(1/23)から20,950(2/14)と、1か月で▲13%下落しましたが、2018年に上場した3社は、それぞれ、2倍、3倍と好調な出足となっています(3月8日時点)。
上場日 | 企業名 | コード | 市場 | 事業内容 | 公募価格 | 初値 | 騰落率 |
2月23日 | Mマート | 4380 | マザーズ | 業務用食材卸のBtoBマーケットプレイス | 1,240円 | 5,380円 | 334% |
2月28日 | ジェイテックコーポレーション | 3446 | マザーズ | 放射光施設のX線ナノ集光ミラー開発・販売 | 2,250円 | 9,700円 | 331% |
3月2日 | SERIOホールディングス | 6567 | マザーズ | 女性の就労支援・保育事業 | 1,780円 | 4,100円 | 130% |
今後のIPOスケジュール(2018年3月以降)
今後のIPOにも、かなり面白い企業が控えています。
前述した需給内容と簡単な事業概要だけでも、どれが初値で上がりそうか、初値で上がらなくても持てば上がりそうか、目星がつきますね。
さらに投マガでは、元ファンドマネージャーのカブミチが、独自に企業分析をまとめていきたいと思います。
上場日 | 申し込み期間 | 企業名 | コード | 市場 | 事業内容 | 申し込み可能な主要証券会社(一部) | 資金吸収額(億円)(※) |
3月15日 | 2/28~3/6 | 神戸天然物化学 | 6568 | マザーズ | 有機化合物の研究受託 | SMBC日興証券 SBI証券 |
61.0 |
3月16日 | 2/28~3/6 | 日総工産 | 6569 | 東証 | 製造請負を中心とした派遣・請負 | みずほ証券 岡三証券 マネックス証券 SBI証券 |
102.0 |
3月16日 | 2/28~3/6 | フェイスネットワーク | 3489 | マザーズ | 都心に特化した投資用不動産販売 | 野村證券 SMBC日興証券 SBI証券 岡三証券 マネックス証券 |
19.3 |
3月19日 | 3/1~3/7 | 共和コーポレーション | 6570 | 東証2部 | 「APINA」などアミューズメント施設運営 | 野村證券 SMBC証券 SBI証券 |
11.9 |
3月20日 | 3/2~3/8 | 信和 | 3447 | 東証2部 | 足場などの仮設資材販売 | 野村證券 SMBC日興証券 岡三証券 岩井コスモ証券 SBI証券 |
179.2 |
3月22日 | 3/6~3/12 | SOU | 9270 | マザーズ | 元Jリーガー嵜本(さきもと)氏の貴金属リサイクル事業 | SMBC日興証券 SBI証券 岩井コスモ証券 岡三証券 |
56.0 |
3月23日 | 3/7~3/13 | ファイバーゲート | 9450 | マザーズ | 集合住宅・商業施設向けWi-Fiサービス | SMBC日興証券 SBI証券 岡三証券 |
12.1 |
3月23日 | 3/7~3/13 | キュービーネットホールディングス | 6571 | 東証 | ヘアカットチェーンQBハウス | 大和証券 SMBC日興証券 岡三証券 岩井コスモ証券 マネックス証券 SBI証券 |
253.2 |
3月27日 | 3/8~3/14 | RPAホールディングス | 6572 | マザーズ | ホワイトカラーの業務効率化ロボットアウトソーシング | SBI証券 大和証券 SMBC日興証券 マネックス証券 岡三証券 岩井コスモ証券 |
21.4 |
3月28日 | 3/9~3/15 | アジャイルメディア・ネットワーク | 6573 | マザーズ | ファン(アンバサダー)を活用したソーシャル広告 | みずほ証券 岡三証券 SBI証券 SMBC日興証券 |
4.3 |
3月29日 | 3/12~3/16 | アズ企画設計 | 3490 | JQS | 不動産販売・賃貸 | みずほ証券 SBI証券 岡三証券 |
6.7 |
3月29日 | 3/13~3/19 | 和心 | 9271 | マザーズ | 着物レンタル、和アクセサリー販売 | SMBC日興証券 SBI証券 マネックス証券 |
7.5 |
3月30日 | 3/13~3/19 | 日本リビング保証 | 7320 | マザーズ | 住宅メンテナンス、検査サービス | みずほ証券 SMBC日興証券 SBI証券 岡三証券 マネックス証券 |
3.1 |
4月3日 | 3/14~3/20 | ブティックス | 9272 | マザーズ | 「CareTEX」などの介護業界展示会、介護用品ECサイト | 野村證券 SBI証券 SMBC日興証券 マネックス証券 |
6.0 |
4月4日 | 3/15~3/22 | ビープラッツ | 4381 | マザーズ | IoT等でサブスクリプションモデルのプラットフォーム提供 | 野村證券 SMBC日興証券 SBI証券 マネックス証券 |
3.2 |
4月10日 | 3/26~3/30 | ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス | 6575 | マザーズ | 人材紹介、メンタルヘルスケア事業 | 大和証券 SMBC日興証券 SBI証券 岡三証券 |
11.8 |
4月11日 | 3/23~3/29 | コンヴァノ | 6574 | マザーズ | ネイルサロン「FASTNAIL」 | 野村証券 大和証券 SMBC日興証券 SBI証券 |
8.5 |
※資金吸収額は、OA(オーバーアロットメント)含む。価格が未定の場合は、仮条件の上限か想定価格。